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Vol.11

Vol.11

対談

第三回

ゲスト:致知出版グループ、株式会社ヒューマニティー・マーケティング 代表取締役 /​ 池田篤史

対談

第三回

ゲスト:致知出版グループ、株式会社ヒューマニティー・マーケティング 代表取締役 /​ 池田篤史

Vol.11

『エナジーフルネスな人生、ビジネスの成功の鍵は、やっぱり人だった!』

今日はエナジーフルネス対談の第3回目ということで、久しぶりの対談となります。
今日のゲストは池田篤史さんです。


簡単に池田さんのプロフィールをご紹介させていただきます。致知出版グループの株式会社ヒューマニティー・マーケティングの代表取締役をされています。こちらの会社では、組織の中における課題をヒューマンスキルとマーケティングで解決して、持続的に企業の成長をサポートする、という事業を展開されています。そして今日お持ちいただきましたが、『人間学×マーケティング』というタイトルの本も出版されています。


なんだかとても難しいと思われる方も多いと思うので、具体的にどんなことをやられているかなど、いろいろお話を伺っていきたいと思います。

 

まず、致知出版社というのはどういう出版会社かといういうと、元京セラの会長の稲盛氏、野球界の王貞治氏、ノーベル賞受賞者の山中教授といった経済界や産業界、医学界、そしてアスリートやや文化人の方からも愛読されている『致知』という雑誌を発行されている出版社ですね。そのグループ企業で、「人間学×マーケティング」というキーワードで、でビジネスをされている池田さんと「個人のパフォーマンスの最大化、自己実現をサポートする」をミッションに掲げている桑名さんのお二人から、人間学、マーケティング、経営者、波動、といった色んなキーワードを元にお話をお聞きしていきます。

・桑名さん、久しぶりのエナジーフルネス対談、第3回目ですが、どうですか?

桑名)楽しいですね。今日もすごく楽しみで、人間学とマーケティングというと、経営者がどっちかをやるというイメージなんですよね、人間学に偏る人と、マーケティングシステムに偏る人。でも、それを掛け合わせられているって究極なので、お話をお聞きするのが非常に楽しみでした。

池田)ありがとうございます。

ビジネスの基本は価値提供と信頼関係

・では、まず最初に、私なりにお二人の共通点というのを見つけたんですけれども、そこからお話し聞かせてください。
池田さんはご自身で会社をやられていますが、以前はビジネススクールで多くのビジネスパーソンの育成に力を入れてこられたんです。もう長年やってこられたんですよね。

池田)そうですね。トータルで20年ぐらいですかね。ビジネスパーソンだけでなくて、若者も含めてですけれども。

・一方、桑名さんはビジネスアカデミーを主宰して、どちらかというと起業家、ビジネスをしたいという人のサポートをいろんな面からしていますね。そういう意味でお二人はビジネスをしている人、これからやビジネスを始めたいという人のサポート役ということで、何か根底に共通点があるんじゃないかと思うんです。
まず、池田さんいかがですか?

池田)私は新卒で入社した会社が、いわゆるスクール経営ど真ん中の会社でした。全国展開していて対象者は社会人だけでなく18歳の専門学校に進学するような子たちを対象とした総合スクールだったんです。 そこに新卒入社し、ある程度、出世してくると学生募集から経営まで任せていただくようになります。 そうすると「教育と経営」この両方のバランスをとっていかないと事業は発展しないという壁にぶち当たったんです。

以来、「教育と経営」を突き詰めて20年間、探求してきました。 ただ14年勤めた会社と、その後、6年間勤めた会社は違ってて、14年働いた会社は、先ほどお話しした18歳の子とか高校生とか社会人とか、総合的に対応しているところだったのですが、その後、独立してマーケティングの大家の先生のもとで、ビジネススクールに携わることになり事業部長として様々な講座をやらせていただきました。その6年間でクリエイティブクラスのビジネスパーソンを相手にした経験が、今につながっています。

・そこで、人間学×マーケティングのヒントになるようなことがあったんでしょうか?

池田)はい、あります。まず、前職時代の最初に入社した会社では、やはり生徒が集まらないと、いくらいい教育をしても、提供する相手がいないという状況になります。やはりそこは学生募集ありきですね。生徒がいて、はじめていい教育が提供できるということ。 私はそこで募集効果もあり、かつ、他校にはない独自の教育プログラムを作り、講師採用、企業開拓など全般を行ってきました。驚くことにそこで学んだ学生たちが今、例えばスポーツ学科を挙げると、メジャーリーガーのエンゼルスでトレーナーをしていたりとか、私、地元福岡なんですけれども、福岡ソフトバンクホークスでトレーナーをやっていますとか、楽天イ ーグルスに就職しましたとか、当時では考えられないようなところに就職しているんです。あの頃、高卒の子たちの大きな夢を叶えよう!と新しいプログラムを作ったのですが、社内では、経営的にもあまり理解してもらえなかったんです。

でも、20年経った今、あの時の学生がスポーツ業界の最高峰で活躍して、卒業生の顔となって学生募集に貢献しているのを聞くと、何か一つの答えみたいなものが見つかったように思えてきます。それは、スキルだけを身につけるのではなく、志や人間性の部分を身につけないと「なりたい自分にはなれない」ということです。


・それは、例えば、専門的にひとつの得意のことを伸ばすのも大事だけど、まず人として人間としてのベースをきっちり斉えるということが大事ということでしょうか?

池田)はい、本当にそう思います。実際、その後、マーケティングの会社に入ってからも、それは実感しました。そこでは目先の売上を伸ばそうと学びにくる経営者も沢山いたのですが、大事な部分が欠けていると、売上があがっても一過性で終わってしまうというのを目の当たりにしてきました。
では、大事なことって何なんだろう?と探究している時に、『致知』人間学と出会わせていただいたんです。そこで、マーケティングと人間学の掛け算(調和)が大事だという答えに至り、現在に至ったというわけです。

・ありがとうございます。
桑名さんはビジネスアカデミーで起業について、起業家の皆さんの育成サポートしていますが、実際どんなことを感じますか?そういう起業家の方々を見らおられて。

桑名)僕は、昔すごくお世話になった人に、稼ぐこと、つまり成功するのと、成功し続けるのは全然やり方が違うというのを教えてもらって、成功し続けるための教えって世の中にほとんど出回ってない。なぜかというと、そんなノウハウが出回ったらコンサルの仕事がなくなるからって言われてたんです(笑)。
そこから僕も起業していろんなことをする中で、独立して17年ですけど、すぐ消えていく人がほとんどですね。僕が独立した当初に活躍されていた方も、今でも生き残って活躍している人って本当にごくごくわずかです。それだけ稼ぎ続けるというのは困難なことなんですよね。
そんな状況を見てきているので、僕はビジネスアカデミーでは、どんな人にも自分が価値提供できるものがある、だからその価値を提供するやり方を教えながら、稼ぎ続けるということを目標にサポートしている感じですね。

池田)いいですね。


・桑名さんの日頃のYOUTUBEだったり、Xで流れている言葉などからは、やっぱり人としてこうじゃなきゃいけないとか、感謝の気持ちが大事とか、結構そういうことに言及してメッセージを出していることが多いように見受けられるんですが、そこは何か特別な考えがあるんでしょうか?

桑名)そうですね、やっぱり、信頼関係ができないと売れない、ビジネスとして成立しないですよね。
しかも僕はコンテンツビジネスという目に見えないモノを価値として提供しているのが仕事なんですけれども、それってやっぱり僕という存在を信頼してくださっているからお金をいただけるわけですよね。もちろん価値提供しないといけないんですけど、でもこの人の情報、提供してくれるものを受けとろうって思うときには、その相手を信頼しているからです。そういったベースとなるところを大切にしないといけないですね。こういうことは必要だなと思います。

・人間関係とか信頼関係とか、人ですね。

桑名)僕は、会社を経営していますけれども、プレーヤーの経営者。ビジネスアカデミーで来てくださる方々もプレイヤータイプ。そうすると究極はあなたに会いたいからとか、あなたみたいになるにはどうしたらいいですか?と言うことにつながりますので、そうなれるようにしましょうということは伝えています。
僕自身も全然ダメな部分もいっぱいあってSNSとかではそういうことも出してますが、こういうこと常に意識するようにしていますし、やはり大事だなというのは思いますね。

マーケティングの中心は人?仕組み?

・ありがとうございます。では、核心のお話に入っていきたいと思います。まず、マーケティングということでお二人のお考えとかお話を伺いたいと思います。マーケティングは人によってほんとに捉え方がバラバラで、ある人にとっては売るために必要なこと、ある人にとってはもうちょっと抽象的な、顧客に感動みたいな場合など、見方によってが違いがあってもどれも間違いではないですよね。そういうマーケティングとヒューマニティーというのが一体となったヒューマニティ・マーケティングとは、一体何なんでしょうか?

池田)ヒューマニティー・マーケティングは私が作った造語です。

マーケティングの大家の先生のもとで、6年ぐらい仕事を一緒にさせていただいた時にもマーケティングの定義という話がよく出るんですね。その定義のうちの一つに、例えば「商品を売りたい人を目の前に集める(商談の土俵に乗せる)」のがマーケティングだという考え方もあったり、最近では森岡毅さん(株式会社刀代表取締役)は、「売れる必然性をつくること」と言われていて、なるほどと思うわけです。どちらもその通りだなと思うんですけれども、森岡さん風にいうと桑名さんがおっしゃったように「売れ続けること」が大事だと思っています。では、売れ続けるためにはどうすればいいのか?因数分解していくと、結局のところ、仕組みも大事なんですけれどもその仕組みをつくる人が育っていないと仕組みだけつくって「はい、

これで回していきましょうね」と言っても運用するのも人です。また仕組みをアップデートするのも人です。そういうことを実践していくと、やっぱり人って大事だなということになっていきます。では、その人とは「どういう人であればいいのか?」を考え、“人間を学ぶ”ようになります(人間学)。人間を学んでいくと「人は誰しもが生まれてきた時に天真(その人ならではの天から与えられた才徳=才能や徳性のこと。思いやりとか優しさとか愛情など)がある」という教えがあります。その真実に気付き、際限なく発揮する我づくりの学問を「人間学」といいます。
これはマーケティングに通じる考えで、商品を売るにも、例えば、差別化という言葉がありますが、差別化するにも、自社の良さとか強みとか、自社らしさを開発し、それを欲してくれる人に提供し続けるわけです。その自己開発するための学問が人間学なんですね。 そういう意味で、このヒューマニティとマーケティングを掛け合わせた「人間学×マーケティング」を表現したのが、ヒューマニティ・マーケティングというものです。

・なるほど。例えば今おっしゃった人が欲しているもの、その人が欲しているかどうかというのをわかるためには、人のことを分かっていないとならない、ということですね。そういう意味で、人間に対する理解というのがベースにないといけないんでしょうね。

池田)はい、そのとおりです。あとで話そうと思っていましたが、経営でいうと、売ったり買ったり価値をお届けするわけですが、経営の神様といわれた松下幸之助さんが「経営とはどういうものですか」と聞かれたときに、"2つある。一つは宇宙の哲理を知ること。もう一つは人間の把握だ” と仰ったといいます。この人間の把握というのは「人間はいいところもあるし、放っておくと心に雑草が生えたりする」といった部分を、全てひっくるめて人間の把握をしなきゃだめだよ、ということを仰っているんですよね。さらに、桑名さんが先ほどおっしゃった「信頼され続ける」ということでいうと、松下幸之助さんは「経営者とはいかなる条件を持っていないとできないでしょうか?」という質問に対して「"運が強くなければだめだ"」と言っていたようです。「では、運が強くなるためにはどうすればいいんですか?」という問い続けたら「"それは徳を積むことだ"」とおっしゃったらしいんです。では徳って何か?というと田口佳史先生は、次のように表現されています。" 自己の最善を他者に尽くし切ること。これが徳の本質だ" と。では、徳を積み続けるとどうなるかというと、信頼が貯まるということですね。今は信頼経済の時代です。 お金を生むのも信頼がベースにあって、そこに感謝が相まって契約(お金)が生まれます。そういう意味で、やはりヒューマニティがベースにないと、これからの時代、稼ぎ続けるとか、売れ続けることができなくなってくるのは明らかということをお伝えしていきたいと思って造らせて頂きました

 

・田口先生というのは東洋思想研究家で論語にも造詣が深い田口佳史氏ですね。
徳を積むとか、感謝をするということ、すごくそういうようなことを桑名さんは日々発信していると思うんです。

池田)そうなんです。だから私も桑名さんと今日お話をするのが楽しみでした。

・ご自身ではあまり意識していないかもしれないけれども、人のためにとか、そういうことをあんまり説教臭くなく、難しくなく、さらっと伝えていると感じていますが、ご自身ではどうですか?

桑名)うーん、当たり前ですけど、僕は経営者で、しっかり稼いでいるし、お金も大好きですし、でも、論理的に考えています。それは論語的ではなくて、経営者として論理的に考えて、人が喜んでくれるからお金になるわけです。だから、もちろん売り上げ目標がありますとなったら、人のお役に立つことをするからこそ売上になるじゃないですか。それをすごく当たり前に思っています。もちろん、人としてこうした方がいいというようなあり方も大切にはしているんですけれども、それもある意味、経営者としてしたたかにそこを計算してやっている部分もあるわけで、そこがすごく大事かなと思ってやっています。
実は僕、すごくいい人と見られたり思われることが多いんです(笑)。僕はYOUTUBEも広告とかを入れていないですし、動画にテロップも入れていないんです。それはなぜかというと、

ながら聞きをされる方が多いからなんです。僕のメインの視聴者の方は、30後半から50代の女性が多いので、普段家事しながらとか、通勤や移動中、仕事の合間に聞いてくれています。広告が入ると一回手を止めないといけなくなりますよね、遮られるので。だから僕の動画には広告は入れないようにしているということだけをお話しすると、すごくいい人のように思われるんです。でも、僕からすると、そこは論理的に考えていて、広告を入れない、テロップを入れない、その方が視聴者の方も聞きやすいですし、そういうことが信頼につながると思うのでマネタイズは後です。広告で収益をあげることはしないんです。後ろに持ってきてそこでお金をいただかないようにって。
どうしたら信頼され続けられるかをすごく考えています。視聴者の方々にとって喜ばれることやプラスになるようなことをした方がいいですし、そんなことを常に考えながらやっています。

・そうですね。桑名さんはすごくバランスをとりながらを合理的に考えていますよね。でも、合理的なこと効率とかを求めると、どうしても非人間的な感じに思われがちになりがちですけど、桑名さんの合理性は人のためにやるから、結果として合理的だという、そういう考え方なんですね。お客さま、視聴者、受講生のためにやることが最終的には一番いいんだということ、まず、自分じゃなくて彼らのためにやることが合理的という桑名さんらしい考え方だなと思います。

 

池田)はい、本当にそうですね。これが実は、一番難しいところなんですよね。なかなかそれができない方が多いです。人がいいから、マネタイズは申し訳ないと思ってしまう方もいれば、マネタイズのことばっかり考えて、お相手のためになっていないというような方もいますよね。桑名さんのようにバランスのとれたというか、両方を網羅した形でビジネスをされている方というのは、そんなに多くはないのかなと思います。

・面白いですよね、やっぱり理系で、研究者で、なので、こうやったらこうなるといったことを淡々答えを見つけるんですよね。そこに自分の感情とかそういうのは置いて、こうだから、と言える。でもこれがいやらしくなく、人のためにやってあげればこうなるし、困っている人のためにやったらもっと喜んでもらえるし、とすごく人間に寄った合理的な考え方が桑名流だなって思うんですよ。

池田)はい、そうですね、ものすごく大事だと思っています。 今、『致知』をテキストとして活用し組織を活性化させていこうという勉強会が全国約1350社で行われているのですが、最近、学生たちにも広がってきているんです。昨年、慶応義塾高校野球部が夏の全国高等学校野球選手権で優勝しましたが、彼らも学内木鶏会といって『致知』を使った人間力を高める学びの時間をとっているんです。野球の練習だけやっておけばいいところを、人間力を高める勉強をあえて行っている。それは監督の思いもありますが、立派な部訓があり「人間力を高めよう!その上で、日本一を目指そう!」というしっかりした理念があるんですね。
で、何を話したかったかというと、単純に導入して満足しておしまいという会社もあれば、理系的(合理的な)方が、情理も大切にしながら仕組みとして勉強会を設置する会社もある。後者は、離職率も減り、人事生産性が上がり、売上も上がり、CSも高まるというように数値を計測している会社もあるんですね。全部がそういう会社ではありませんが、そういった会社との共通点みたいなことを桑名さんから感じているので、今日いろいろとお話を聞きたいと思っていました。

桑名)嬉しいです。ありがとうございます。

池田)はい、私がどうすれば成功するというのはちょっとおこがましいと思っていまして、逆に、どうすれば堕落していくか、ダメになっていくかというのはすごく分かっているつもりです。それは、46年間生きてきた中で「あぁこの人はこうなった」とか人間学を学ばせていただいて「あぁこうするとダメになっていく」というのが分かってきました。その上で、絶対気をつけようと思っているのは、まず、不平不満、愚痴、それから惰性・奢り、謙虚さや感謝を欠くということをやっていると、一時よかったとしても、必ず落ちていくということです。
なので、自分がそういう気持ちがちょっと心の中で芽生えてきたと感じたら、『致知』もそうですが、いい本を読んで、心の雑草を取らないといけないなと思っています。やはり人間って放っておくと心に雑草が生えてくるので「あぁ 良くない、良くない」と言い聞かせています。
実は、これは新卒で営業をやってきた時から感じていたことなんです。「営業成績が良いときと悪いときでは何が違うのだろう」と徹底して自己分析した時に「あぁ今こういうメンタルになっているから営業成績がこうなっているんだ」というのを新卒時代から掴んできていたんです。なので、その頃から「心を整える本」と「スキルアップの本」2種類2冊の本を必ずカバンに入れていました。 今課題としているスキルの本も読みながら、心を整える本も並行して読もうというのは、20代から心がけてきました。

・はい。やっぱり自分の中で思っていることとか、自分のメンタルの状態によって、同じことやっていても結果が違うということがありますよね。

池田)そうですね。まさにある意味、波動だなと感じていましたので、そのあたりを桑名さんにお聞きしたいです。

桑名)僕は不満、愚痴をすぐ言っちゃうんですね(笑)。

池田)言っちゃダメってわけじゃないんですけどね(笑)。言いたくなることありますよね。

桑名)あります(笑)。でも僕はそういうのももちろんあるんですけれども、まあ日々のルーティンとかは大事にして、自分を斉える、エナジーフルネスとかそうですけど、朝歩くとか、しっかりお風呂入る時間とかはとっています。あと毎朝7時台にXに投稿するなどそういうのは決めてます。それとともに朝出かける前に神棚ともう一つ僕が祀っているものがあるんですけど、そこを手を合わせておかげさまというのを常に意識していますね。いつもありがとうございますと言っています。そういうことはしていますね。そこで会員の方とクライアントのための祈り、これも毎日していますね。

池田)今、お話をお聞きして、あぁそうだなと思ったのは、私も感謝するルーティンを入れるようにしてきました。朝起きて、ちょっとした体操をするんですけれども、その時に自分の身体とご先祖さまに感謝してます。こうやって息をしているのも当たり前ではなく、意識して呼吸をしているわけじゃないじゃないですか。そういうことも含めてルーティンにしていますね。

・先ほど、池田さんが波動っておっしゃいましたけど、そういったルーティンをちゃんとやっていくことによって、自分を斉える、波動が強くなるとか波動が下がるとかいったことに影響しますか?。

桑名)もちろんですね、何か先ほどの心を斉えるというお話もそうですけれども、体も斉えていない方、疲れているときはやっぱりネガティブになりやすいですし、僕は結構体整えるというのは意識していますね。

池田)桑名さんがお風呂にちゃんと浸かるようにとか塩を入れると良いですよ、と言われていますよね。私もやっています。

桑名)嬉しいですね、でもそういうのが結構大事ですね。

・桑名さんがよく、身体、心と思考、エネルギー、状態というお話をされますが、確かに人は何か身体の調子が悪いと、何かメンタルにきたり、口から出る言葉がすごいネガティブになったり、ということですよね?

池田)そうですね、良くわかります!

人間力と波動

・マーケティングについてのお話があって、人間学、人間力って何だろう?ということも気になってきます。なので、まず、お二人それぞれに伺いたいんですが、人間学的な視点から、ご自身で、日々こういうことをやっているとか、こういうことに気をつけているとか、これはやらないようにしていうことなるがあれば、教えていただけますか?

池田)先ほどちょっと触れましたけれども、経営者の方って社員さんを預かる意識が強いと思うんです。 故・京セラ会長の稲盛和夫さんが経営者になったばかりの頃、部下の反発に葛藤し「全従業員の物心両面の幸福を追求する」ことを第一義とされたエピソードがあります。私もいろいろな経営者と接しておりますと、稲盛さんのように従業員に想いをよせられるか、それとも、自分の商品やサービスを世に出すことを第一義とした理念を掲げるかの違いで、確かに経営結果が全然違うんです。
心からこの「全従業員の物心両面の幸福を追求すること」を理念として掲げ、それを実践していこうと思った際に、まず経営者自身の心・考え方を高め、次に社員さんたちと一緒に、善きことを思い、善きことを行っていく必要があります。 法人の人は「人」ですよね。なので、会社でありながら一人の人として同じ思い、同じ価値観で会社を経営していかないと、やはり、いい商品開発やいいサービスの提供、いいマーケティング、いい会社づくりはできないです。もちろん、全てのプロセスは、人によって成り立ちますので、商品づくりから発信、お客様への提供まで、経営者の心が利己的だったら一貫されない(つまり売れない)という結論に至ったんです。
なので、人間学って、口で言うのは簡単ですが、行うのは難しい。それを踏まえて 全従業員の方々に同じように心を高めていこうと言われた最たる偉大な経営者が稲盛さんだったのだと思います。実現するのは本当に難しいですが、私はそういう論算兼備の経営者で満ちた世づくりを実現していきたいという思いがすごくあります。
過去には私自身も従業員として働いてきたので良く分かりますが、やはり社長と従業員に溝があるケースって、たくさんあるじゃないですか。それは、どっちがどうとかというわけでもないんです。本当は想いを一つにして、自分たちの会社を良くしたい、自分たちの商品を良くしたいと皆が思っているわけですよね。そうするためのベースを『致知』という雑誌で培えますので、これを広げていくことが大事と思って日々邁進しております。

・一般的に、よく企業は、社長以上、社長の器以上にはならないって言いますよね。そういう意味では社長の器が上がれば上がるほど、その企業の成長の可能性が高くなるという意味では、経営者の人間力が大事ですね。

池田)そうですね。 昨日もグループ2000名の社員さん全員に『致知』を配り、社内勉強会をしている経営者とお会いしたのですが、その方は、ご多忙にもかかわらずボランティアで『致知』で人間学を学ぶ経営者の会を率いておられ、毎月勉強会を開催して下さっています。その方は稲盛さんの「盛和塾」にいらっしゃった方で、そういう経営者の方と接していると自分の器の小ささとか、こうなっていくにはどうしたらいいのだろう、と感じさせていただいています

桑名)引き締まる思いです(笑)。

池田)いえいえ、私もです(笑)。

桑名)僕もコンサルもしているので、そこで経営者の方にもお伝えしますし、僕が一番自分自身で意識しているのは、理念に沿って自分が一番やること、誰よりも働くことです。僕の会社の理念、それを実現していくにあたって、自分が一番動かないと誰も動かないですね。コンサルの時にはこういう話をするんですけど、ビジネスアカデミーでも言っていますが、実はお客さまもそういう部分を見ているということなんですね。だから、そういったことを意識して情報発信することが必要というのは、皆様にも言っています。
それは何のためにというのがすごく大事だし、それを見せるという、そういうのは常に意識してやっています。

・ある人が、経営にとって先を読む力、決断するなど、トップに立つ人間にはいろいろなスキルが必要ですけど、最終的にはセンスだと言っているんです。そのセンスというのがイコール人間力だな、と思うんです。その人が今までここまで生きてきた中で培われたもの、これは学ぼうと思っても学べないというところかなと思うんですね。
そのあたりで、どうやって人間学を学んで、どうやって人間力を高めたらいいですか?何かアドバイスありますか?

池田)有名な二宮尊徳(金次郎)の像が読んでいる本=『大学』(『四書五経』の一つ)があります。『大学』とは大人(たいじん)になるための学問です。大人とは「周囲の人を幸せにする徳を持ったリーダー」のことで、修己治人の書といわれているのが『大学』なんですね。
その『大学』の一番最初のページに、この本で一番伝えたい大事な3つの要点が出てきます。まずは「明徳を明らかにする」といい、一人一人生まれ持った徳を明らかにしていきましょうというもの。これがまず1つ目です。そして、明らかになった徳を周りの縁ある方々に伝えていきましょうというのが2つ目「親民(しんみん)」といいます。3つ目がその良い状態をずっと続けていきましょうね、というものです。これを「止至善(ししぜん)」というんですね。 これに加えて「八条目」というのがあり、まさに「どうやって人間力を高めていくのか」のステップが、この2500年も前の本にちゃんと書かれているんです。ではどんなステップかというと、まず「格物→致知」というところからスタートします。「格物」というのは物事にぶつかること、と『致知』の藤尾秀昭社長は説明しています。物事にぶつかって初めて本当の知恵に至るんだと。つまりは行動・経験もしないで、情報だけ仕入れて「俺は知っているよ」と言ってもなんにもならないということですね。まず体験し、物事にぶつかり、「あぁそうか!」と気付いたものだけが本物の知になる。人間学誌『致知』の由来はここからきたものです。本物の知になったことで意識が誠実になり、心を正そうとし始め、身を修めるようになる。すると、家庭が安定するようになり、会社・社員さんたちも治められ、結果、地域や業界が良くなっていくというプロセスが書かれているんです。
ですので「どうやって人間力を高めていくのか?」は、まず行動・実践。そして結果をどう受け止めるか。そこから真実の知恵を自身に落とし込んでいくしかないと思っています。本を読んでいるだけでは学びにはなりませんし、行動してこそ意味があると思います。

・桑名さんも同じようなお考えですよね?まずやってみないと、と。

桑名)そうですね。何かよく分かち合いましょう、今持っているもの何でもいいので、情報でもいいですし、何か人を紹介するでもいいし、自分自身が持っているものを分かち合いましょう、といことをよく言うんです。ただ、それって何か説教臭く聞こえるらしいんですね。僕は、その行動自体がかなり自分を認めることにつながることになると思うんですよね。既に持っている、それを分かち合うことで自分を認めることになります。この過程で自分の中に足りないものに気づいたり、分かち合ってもうまくいかないことがあったり、ぶつかりながらも色々な発見や気づきがあります。自分に足りないものに気づいたり、自分にはできないと思った時でも、そんな自分をちゃんと受け入れることで、人への思いやりの心とか、そういうものが出来上がるのではないかなとは思います。

池田)素敵ですね、先ほど話した「親民(=縁ある人に明らかになった徳を伝えていく)」ということなのかなと思いますね。

・ありがとうございます。
お二人とも経営者です。経営にあたっていろいろなマーケティング、合理的な思考もあると思います。
とはいえ、やはり売上を上げてビジネスを成功させていくためのビジネスの仕組みというのも必要です。仕組みばかりを追っかけて人間的な部分がないがしろになるということもよくありますね。
そこで、2つの考え方があります。ひとつは、人をエンパワーメントする、社員一人一人のパワーを最大化することで、いい意味で属人的にやっても、会社の全体の組織力は上がる考え方。もう一方で、人が入れ替わっても、仕組みがあってシステムがちゃんとしていれば、会社の売上も確実に効率的にやっていけば良くなるという考え方もあります。
この辺についてお二人のお考えを伺ってみたいです。

桑名)そうですね、今、なんていうのかな、仕組みづくりしてバイアウトして、というのも流行ってますよね。まあ、それはそれでいいかなと思うんですよね。そこにゲーム的にやっている人もいて。ただ、僕がいつも思っているのが、答えにも全然ならないと思うんですけれども、そこで人がお金を払ってそのサービスを受けるということは、それで喜ぶじゃないですか。喜んでいる人がいるなら、それはそれでいいなと思うんです。だから、そういう人たちはそういう形でやってもらえばいいかと。でも、僕は属人的な方が好きかな。だから、うちの会社は僕が動かないと売上もたたないですし、考え方が人それぞれなので好みかなとも思います。
僕の場合はなんかただの好き嫌いですけど、理念があって世の中が良くなるようにとか、ずっと社員が幸せになるようにとか、そういうことをされている人が好きです。善し悪しはありますけど、商売が成り立っているということは、喜んで価値を受け取っている人がいるということだから、それはそれで大切かなと思います。

池田)はい、すごくよく考えるテーマですよね。私は、仕組みは本当に大事だなと思っていますし、今、桑名さんがおっしゃった属人的な部分を残すというタイプでいうと、私もそっちのタイプです。私の今の職場に、典型的な仕組みで回していこうという会社に勤めてきた社員がいます。彼とはよく話すんですが、仕組み作りは設計者の思想によって変わってくるなと思って聞いてました。例えば、その人が勤めていた会社は、最小の資本で最大の価値を上げるという思想で、その通りに動けば、確かにすごく儲かるんです。けれども、その彼が言うには「そこで働く人たちは、年収が上がっても、いい人生が送れているかというと、そうではないようにも思う」と言ってたのがすごく印象的でした。
一方で、仕組みがなく人の良さだけで会社を回せるかというと、やはりそれも難しいところがあって、人の良心を大切に維持していくための利益を生み続ける仕組みも必要です。 例えば、"最大のサービスは君の人格を上げることだ"とおっしゃったのは、イエローハットの創業者の鍵山秀三郎さんですが、 社員一人一人が心を高めると社全体のホスピタリティが上がり、結果として他社の追随を許さないほどの顧客からの評価を得る。それも含めて設計といいますか、やはり経営者であったら理系的マインドも必要だと思いますね。なので、バランスが大事だと思っていますし、仕組みも人間性もやはり両方大事だと思います。ただ、どちらが本で、どちらが末かというと、本が人間力の方ですね。

分かち合いは自己肯定に、そして前向きに活動する人生を

・では最後に、お二人の今後のエナジーフルネスなビジネスにおける目標とかチャレンジをお聞きしたいと思います。そして、皆さんにこういうことをしたらいいよ、こんなことをしたら人間的に成長できるよ、というようなエナジーフルネスな人生が送れるよ、というメッセージがあればお願いします。

桑名)僕のビジョンとしては、日本を元気にしたい、ということです。あまり怖がらせたくはないですけれども、やはりいろいろな情報が入ってくると、このままで日本はほんとに大丈夫かなとも思います。あと、景気って人の「気」気分がすごく大事なので、そういうところから元気にしたいなと思っています。会社として今年は海外でセミナーを開催しようと計画していますし、いろいろと活動の幅を広げていく予定です。
こういうことをするといいよというみなさんへのメッセージとしては、今日の話の中でも言ったことですが、分かち合いというものですね。今自分が持っているものを出す、これは実は、分かち合いましょうというと道徳的に聞こえちゃうことが多いですけど、結局、自分の中にあるものを出すことで、なんていうのかな、人に喜んでもらえるものがあるという素晴らしい部分に気づくことになるので、それを通しながら自己肯定感というのも上がってくるんです。だからまず、自分が今持っているものを出すということをしていただくといいかなと思います。

・はい、ありがとうございました。

池田)今、桑名さんのお話を聞き、一緒だなと思いました。致知出版社では、富国有徳の国づくりという目的があります。『致知』を読む経営者の方々が、全国各地で勉強会を開催して頂いているのですが、そこには経営者の方だけではなく、社員さんや学校の先生、生徒さんたちが一緒になって学び合うようになってきているんですよね。私は、こういう活動をもっともっと広げていきたいと考えています。
またマーケティングの視点で考えると、徳を高めた上で、他社のために最善を尽くす自己表現を際限なく発揮することで初めて、自分の人生を生きることができ、より前向きに積極的に活動していく方が増えていくのではないかと思います。そういう意味でも、本当に桑名さんとの出会いも何か必然だなと思っています。私も頑張っていきたいと思ってお ります。

・ありがとうございます。今日は本当にマーケティング、人間学、経営と、いろいろなお話が聞けて大変楽しかったです。ありがとうございます。
また番外編もやろうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

池田篤史(いけだ あつし)

株式会社ヒューマニティ・マーケティング 代表取締役

国際的マーケッターの会社で400社以上の中小企業、中堅上場企業の経営者が集う会を主催するコンサルティング事業部長を経て独立。経営ト ップ・幹部の意思を、組織に浸透させていくプロセス構築・実行支援で多数の実績。稲盛和夫氏、王貞治氏、ノーベル賞受賞 山中伸弥氏ら世 界に活躍する財界人が愛読・応援する人間学誌『致知』(年間購読11 万6000部)を活用した学習する組織(1300社・2023年3月現在) 「社内木鶏経営者会」の副事務局長、致知出版社と協動し論算経営、教育、取引の支援を展開。

過去には20校以上のビジネススクール経営に従事し、全校黒字化・ 健全経営へ転換。質の高い教育と持続的経営のバランスをとる経営手法 で、3万人超の受講生ビジネスパーソンのキャリア開発をサポート。

 

経営者と幹部・社員の心の溝を埋め、マーケティング計画を立案・実行 し、デジタルとアナログの双方活用、人材活用、継続的な結果を生む仕 組み構築を得意とする。

https://www.hu-marke.com/

致知出版社

池田)ヒューマニティー・マーケティングは私が作った造語です。

マーケティングの大家の先生のもとで、6年ぐらい仕事を一緒にさせていただいた時にもマーケティングの定義という話がよく出るんですね。その定義のうちの一つに、例えば「商品を売りたい人を目の前に集める(商談の土俵に乗せる)」のがマーケティングだという考え方もあったり、最近では森岡毅さん(株式会社刀代表取締役)は、「売れる必然性をつくること」と言われていて、なるほどと思うわけです。どちらもその通りだなと思うんですけれども、森岡さん風にいうと桑名さんがおっしゃったように「売れ続けること」が大事だと思っています。では、売れ続けるためにはどうすればいいのか?因数分解していくと、結局のところ、仕組みも大事なんですけれどもその仕組みをつくる人が育っていないと仕組みだけつくって「はい、これで回していきましょうね」と言っても運用するのも人です。また仕組みをアップデートするのも人です。そういうことを実践していくと、やっぱり人って大事だなということになっていきます。では、その人とは「どういう人であればいいのか?」を考え、“人間を学ぶ”ようになります(人間学)。人間を学んでいくと「人は誰しもが生まれてきた時に天真(その人ならではの天から与えられた才徳=才能や徳性のこと。思いやりとか優しさとか愛情など)がある」という教えがあります。その真実に気付き、際限なく発揮する我づくりの学問を「人間学」といいます。
これはマーケティングに通じる考えで、商品を売るにも、例えば、差別化という言葉がありますが、差別化するにも、自社の良さとか強みとか、自社らしさを開発し、それを欲してくれる人に提供し続けるわけです。その自己開発するための学問が人間学なんですね。 そういう意味で、このヒューマニティとマーケティングを掛け合わせた「人間学×マーケティング」を表現したのが、ヒューマニティ・マーケティングというものです。

・なるほど。例えば今おっしゃった人が欲しているもの、その人が欲しているかどうかというのをわかるためには、人のことを分かっていないとならない、ということですね。そういう意味で、人間に対する理解というのがベースにないといけないんでしょうね。

池田)はい、そのとおりです。あとで話そうと思っていましたが、経営でいうと、売ったり買ったり価値をお届けするわけですが、経営の神様といわれた松下幸之助さんが「経営とはどういうものですか」と聞かれたときに、"2つある。一つは宇宙の哲理を知ること。もう一つは人間の把握だ” と仰ったといいます。この人間の把握というのは「人間はいいところもあるし、放っておくと心に雑草が生えたりする」といった部分を、全てひっくるめて人間の把握をしなきゃだめだよ、ということを仰っているんですよね。さらに、桑名さんが先ほどおっしゃった「信頼され続ける」ということでいうと、松下幸之助さんは「経営者とはいかなる条件を持っていないとできないでしょうか?」という質問に対して「"運が強くなければだめだ"」と言っていたようです。「では、運が強くなるためにはどうすればいいんですか?」という問い続けたら「"それは徳を積むことだ"」とおっしゃったらしいんです。では徳って何か?というと田口佳史先生は、次のように表現されています。" 自己の最善を他者に尽くし切ること。これが徳の本質だ" と。では、徳を積み続けるとどうなるかというと、信頼が貯まるということですね。今は信頼経済の時代です。 お金を生むのも信頼がベースにあって、そこに感謝が相まって契約(お金)が生まれます。そういう意味で、やはりヒューマニティがベースにないと、これからの時代、稼ぎ続けるとか、売れ続けることができなくなってくるのは明らかということをお伝えしていきたいと思って造らせて頂きました

 

・田口先生というのは東洋思想研究家で論語にも造詣が深い田口佳史氏ですね。
徳を積むとか、感謝をするということ、すごくそういうようなことを桑名さんは日々発信していると思うんです。

池田)そうなんです。だから私も桑名さんと今日お話をするのが楽しみでした。

・ご自身ではあまり意識していないかもしれないけれども、人のためにとか、そういうことをあんまり説教臭くなく、難しくなく、さらっと伝えていると感じていますが、ご自身ではどうですか?

桑名)うーん、当たり前ですけど、僕は経営者で、しっかり稼いでいるし、お金も大好きですし、でも、論理的に考えています。それは論語的ではなくて、経営者として論理的に考えて、人が喜んでくれるからお金になるわけです。だから、もちろん売り上げ目標がありますとなったら、人のお役に立つことをするからこそ売上になるじゃないですか。それをすごく当たり前に思っています。もちろん、人としてこうした方がいいというようなあり方も大切にはしているんですけれども、それもある意味、経営者としてしたたかにそこを計算してやっている部分もあるわけで、そこがすごく大事かなと思ってやっています。
実は僕、すごくいい人と見られたり思われることが多いんです(笑)。僕はYOUTUBEも広告とかを入れていないですし、動画にテロップも入れていないんです。それはなぜかというと、

ながら聞きをされる方が多いからなんです。僕のメインの視聴者の方は、30後半から50代の女性が多いので、普段家事しながらとか、通勤や移動中、仕事の合間に聞いてくれています。広告が入ると一回手を止めないといけなくなりますよね、遮られるので。だから僕の動画には広告は入れないようにしているということだけをお話しすると、すごくいい人のように思われるんです。でも、僕からすると、そこは論理的に考えていて、広告を入れない、テロップを入れない、その方が視聴者の方も聞きやすいですし、そういうことが信頼につながると思うのでマネタイズは後です。広告で収益をあげることはしないんです。後ろに持ってきてそこでお金をいただかないようにって。
どうしたら信頼され続けられるかをすごく考えています。視聴者の方々にとって喜ばれることやプラスになるようなことをした方がいいですし、そんなことを常に考えながらやっています。

・そうですね。桑名さんはすごくバランスをとりながらを合理的に考えていますよね。でも、合理的なこと効率とかを求めると、どうしても非人間的な感じに思われがちになりがちですけど、桑名さんの合理性は人のためにやるから、結果として合理的だという、そういう考え方なんですね。お客さま、視聴者、受講生のためにやることが最終的には一番いいんだということ、まず、自分じゃなくて彼らのためにやることが合理的という桑名さんらしい考え方だなと思います。

 

池田)はい、本当にそうですね。これが実は、一番難しいところなんですよね。なかなかそれができない方が多いです。人がいいから、マネタイズは申し訳ないと思ってしまう方もいれば、マネタイズのことばっかり考えて、お相手のためになっていないというような方もいますよね。桑名さんのようにバランスのとれたというか、両方を網羅した形でビジネスをされている方というのは、そんなに多くはないのかなと思います。

・面白いですよね、やっぱり理系で、研究者で、なので、こうやったらこうなるといったことを淡々答えを見つけるんですよね。そこに自分の感情とかそういうのは置いて、こうだから、と言える。でもこれがいやらしくなく、人のためにやってあげればこうなるし、困っている人のためにやったらもっと喜んでもらえるし、とすごく人間に寄った合理的な考え方が桑名流だなって思うんですよ。

池田)はい、そうですね、ものすごく大事だと思っています。 今、『致知』をテキストとして活用し組織を活性化させていこうという勉強会が全国約1350社で行われているのですが、最近、学生たちにも広がってきているんです。昨年、慶応義塾高校野球部が夏の全国高等学校野球選手権で優勝しましたが、彼らも学内木鶏会といって『致知』を使った人間力を高める学びの時間をとっているんです。野球の練習だけやっておけばいいところを、人間力を高める勉強をあえて行っている。それは監督の思いもありますが、立派な部訓があり「人間力を高めよう!その上で、日本一を目指そう!」というしっかりした理念があるんですね。
で、何を話したかったかというと、単純に導入して満足しておしまいという会社もあれば、理系的(合理的な)方が、情理も大切にしながら仕組みとして勉強会を設置する会社もある。後者は、離職率も減り、人事生産性が上がり、売上も上がり、CSも高まるというように数値を計測している会社もあるんですね。全部がそういう会社ではありませんが、そういった会社との共通点みたいなことを桑名さんから感じているので、今日いろいろとお話を聞きたいと思っていました。

桑名)嬉しいです。ありがとうございます。

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